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特定労働者派遣事業とは?
常用雇用労働者だけを労働者派遣の対象として行う労働者派遣事業をいいます。特定労働者派遣事業を行うには、厚生労働大臣に届出をしなければなりません。また、特定労働者派遣事業の届出は、事業主単位(会社単位)で行われるものです。常用雇用労働者以外の派遣労働者を1人でも派遣する場合は、一般労働者派遣事業の許可申請を行ってください。
「常用雇用労働者」とは?
雇用契約の形式を問わず、事実上期間の定めなく雇用されている労働者をいい、具体的には、以下1,2,3のとおりです。
- 期間の定めなく雇用されている労働者
- 一定の期間(例えば、2か月、6か月等)を定めて雇用されている次の者であって、その雇用期間が反復継続されて事実上(1)と同等と認められる者
- 過去1年を超える期間について引き続き雇用されている労働者
- 採用の時から1年を超えて引き続き雇用されると見込まれる労働者
- 日々雇用される次の者であって、雇用契約が日々更新されて事実上(1)と同等と認められる者
- 過去1年を超える期間について引き続き雇用されている労働者
- 採用の時から1年を超えて引き続き雇用されると見込まれる労働者
特定労働者派遣事業の要件
下記に要件がありますが、普通に事業を営まれている方であれば一般派遣とは違いまして特段困難な要件はございませんのでご安心ください。私共では要件について、どうしても不安な事業主様に対し無料で相談を承っております。>>>ご相談はこちら
1.資産・預貯金に関する要件
資産や預貯金についての要件はありません。
2.事務所に関する要件
事務所については、独立性が保たれていることが基本となっていますが、広さについての要件はございません。
3.派遣元責任者に関する要件
派遣元責任者として雇用管理を適正に行い得る者が、所定の要件及び手続に従って適切に選任、配置されていること。
*当該要件を満たすためには、次のいずれにも該当することが必要である。
- 法第36条の規定により、未成年者でなく、法第6条第1号から第4号までに掲げる欠格事由のいずれにも該当しないこと。
- 則第29条で定める要件、手続に従って派遣元責任者の選任がなされていること。
- 住所及び居所が一定しない等生活根拠が不安定なものでないこと。
- 適正な雇用管理を行う上で支障がない健康状態であること。
- 不当に他人の精神、身体及び自由を拘束するおそれのない者であること。
- 公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる行為を行うおそれのない者であること。
- 派遣元責任者となり得る者の名義を借用して、許可を得ようとするものでないこと。
- 次のいずれかに該当する者であること。
- 成年に達した後、3年以上の雇用管理の経験を有する者
この場合において、「雇用管理の経験」とは、人事又は労務の担当者(事業主(法人の場合はその役員)、支店長、工場長その他事業所の長等労働基準法第41条第2号の「監督若しくは管理の地位にある者」を含む。)であったと評価できること、又は労働者派遣事業における派遣労働者若しくは登録者等の労務の担当者(法施行前のいわゆる業務処理請負業における派遣的労働者の労務の担当者を含む。)であったことをいう。
- 成年に達した後の雇用管理の経験と派遣労働者としての業務の経験とを合わせた期間が3年以上の者(ただし、雇用管理の経験が1年以上ある者に限る。)
- 成年に達した後の雇用管理経験と職業経験とを合わせた期間が5年以上の者(ただし雇用管理の経験が1年以上ある者に限る。)
- 成年に達した後、職業安定行政又は労働基準行政に3年以上の経験を有する者
- 成年に達した後、民営職業紹介事業の従事者として3年以上の経験を有する者
- 成年に達した後、労働者供給事業の従事者として3年以上の経験を有する者
- 成年に達した後、3年以上の雇用管理の経験を有する者
- 外国人にあっては、原則として、出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)(以下「入管法」という。)別表第一の一及び二の表並びに別表第二の表のいずれかの在留資格を有する者であること。
- 派遣元責任者が苦情処理等の場合に、日帰りで往復できる地域に労働者派遣を行うものであること。
4.派遣元事業主に関する要件
派遣元事業主(法人の場合はその役員を含む。)が派遣労働者の福祉の増進を図ることが見込まれる等適正な雇用管理を期待し得るものであること。
*当該要件を満たすためには、次のいずれにも該当することが必要である。
- 労働保険、社会保険の適用等派遣労働者の福祉の増進を図ることが見込まれるものであること。
- 住所及び居所が一定しない等生活根拠が不安定なものでないこと。
- 不当に他人の精神、身体及び自由を拘束するおそれのない者であること。
- 公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる行為を行うおそれのない者であること。
- 派遣元事業主となり得る者の名義を借用して許可を得るものではないこと。
- 外国人にあっては、原則として、入管法別表第一の二の表の「投資・経営」若しくは別表第二の表のいずれかの在留資格を有する者、又は資格外活動の許可を受けて派遣元事業主としての活動を行う者であること。
なお、海外に在留する派遣元事業主については、この限りではない。
5.教育訓練に関する要件
- 派遣労働者に係る教育訓練に関する計画が適切に策定されていること。
- 教育訓練を行うに適した施設、設備等が整備され、教育訓練の実施について責任者が配置される等能力開発体制の整備がなされていること。
- 派遣労働者に受講を義務付けた教育訓練について費用を徴収するものでないこと。
6.欠格事由
次のいずれかに該当する者(法人であれば役員)がある場合
- 禁固以上の刑に処せられ、又は労働法関係やその他の法律に違反し、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過していない者
- 成年被後見人、被保佐人又は破産者
- 法第14条第1項(第1号を除く。)の規定により、個人事業主として受けていた一般労働者派遣事業の許可を取り消され、当該許可の取消しの日から起算して5年を経過していない者
- 一般労働者派遣事業について法定代理人から営業の許可を受けていない未成年者であって、その法定代理人が上記イ、ロ又はハのいずれかに該当する者
- 未成年者とは、満年齢が20歳に満たない者をいう(民法第3条)。
なお、婚姻した未成年者については、未成年者としては取り扱わない(同法第753条)。 - 未成年者の法定代理人は、通常その父母である(民法第818条)が、場合によっては(同法第838条)、後見人が選任されている場合がある。
- 未成年者であっても、その法定代理人から一般労働者派遣事業につき民法第6条第1項の規定に基づく営業の許可を受けている者については、この要件につき判断する必要がない。
特定労働者派遣事業の届出
特定労働者派遣事業を行おうとする場合は、次に掲げる書類を事業主管轄労働局を経由して厚生労働大臣に提出しなければなりません。また、届出は事業主単位(会社単位)で行います。
[届出費用(法定費用)]
- 印紙代 0円
- 登録免許税 0円
[届出書類]
- 特定労働者派遣事業届出書 3通(正本1通、写し2通)
- 特定労働者派遣事業計画書 3通(正本1通、写し2通)
*複数の事業所を届出する場合は上記【2】については事業所ごとに必要です。
[添付書類]
- 以下の添付書類2通(正本1通、写し1通)
- 定款または寄付行為
- 登記事項証明書(登記簿謄本)
- 役員(監査役も含む)の住民票の写し
- 本籍地の記載のあるもの。外国人にあっては、外国人登録証明書
- 役員(監査役も含む)の履歴書
- 入社退社などの履歴の空白がないように記載
- 賞罰の有無についても記載
- 事業所の使用権を証する書類(賃貸契約書など)
- 派遣元責任者の住民票の写し
- 本籍地の記載のあるもの
- 派遣元責任者の履歴書
- 入社退社などの履歴の空白がないように記載
- 賞罰の有無についても記載
- 雇用管理経歴についても記載
- 個人情報適正管理規程
*複数の事業所を届け出る場合は上記5〜8については事業所ごとに必要です。
[個人の場合]
- 以下の添付書類2通(正本1通、写し1通)
- 住民票の写し
- 本籍地の記載のあるもの。外国人にあっては、外国人登録証明書
- 履歴書
- 入社退社などの履歴の空白がないように記載
- 賞罰の有無についても記載
- 事業所の使用権を証する書類(賃貸契約書など)
- 派遣元責任者の住民票の写し
- 本籍地の記載のあるもの
- 派遣元責任者の履歴書
- 入社退社などの履歴の空白がないように記載
- 賞罰の有無についても記載
- 雇用管理経歴についても記載
- 個人情報適正管理規程
- 住民票の写し
*複数の事業所を届け出る場合は上記3〜6については事業所ごとに必要です。
特定派遣と一般派遣の違い
特定派遣事業
常用雇用労働者だけを労働者派遣の対象として行う労働者派遣事業をいいます。特定労働者派遣事業を行うには、厚生労働大臣に届出をしなければなりません。
一般派遣事業
特定労働者派遣事業以外の労働者派遣事業をいい、例えば登録型や臨時・日雇の労働者を派遣する事業がこれに該当します。一般労働者派遣事業を行うには、厚生労働大臣の許可を受けなければなりません。
*一般派遣事業の許可で特定派遣も可能です。
特定派遣というのは、一般派遣のように仕事があるときだけ雇用するのではなく、常時雇用される労働者、厳密には1年以上すでに雇用されている方、1年以上雇用されることが予定されている(1年以上の雇用契約を結んでいる)方、期間の定めの無い雇用契約を結んでいる方を派遣するものです。
派遣先の仕事が終了したからといって、雇用関係がなくなるわけでなく、自社に戻して就労させるか、新たな派遣先にて就労するなど、継続して給料も発生することから、計画的に運営しないとランニングコストがかかることになります。
一方の一般派遣は、登録スタッフとして登録してもらい、派遣先が見つかった時だけ雇用契約を結んで就労することになります。仕事が見つかった時だけ働くことになりますので、日雇いや短期の派遣が可能になります。
この場合は、派遣先の仕事が終了した場合は、その時点で雇用関係は終了することから、その後の給料は発生せず、コストパフォーマンス的には有利です。
特定派遣・一般派遣の比較一覧表業
特定労働者派遣事業 | 一般労働者派遣事業 | |
派遣労働者のパターン | 自社の常用雇用労働者 | 登録者・臨時・日雇い・短期・自社の雇用労働者 |
資産・現預金 | 要件なし | 資産−負債>2,000万円 現預金の額>1,500万円 基準資産額>負債÷7 |
届出から許可までの期間 | 届出なので受理即日 | 受理から2〜3ヶ月後、許可 |
法定費用(印紙代他) | 0円 | 210,000円(1箇所の場合) |
派遣元責任者講習 | 受講が好ましい | 受講済みが許可要件 |
派遣元責任者の 職務代行者 |
不要 | 必要 |
労働保険 (労災・雇用保険) |
雇用労働者がいる場合加入 | 雇用労働者がいる場合加入 |
社会保険 (健康・厚生年金) |
加入必要 *例外あり | 加入必要 *例外あり |
事務所の広さ要件 | 基本的にはありません。 | 20(平方メートル)以上 |
事務所の現地調査 | 基本的にはありません。 | 現地調査あり |
特定派遣と業務請負の違い
派遣事業とは
労働者派遣事業とは、派遣元事業主が自己の雇用する労働者を、派遣先の指揮命令を受けて、この派遣先のために労働に従事させることを業として行うことをいいます。
派遣により行われる事業
業務請負とは
請負とは、労働の結果としての仕事の完成を目的とするもの(民法第632条)ですが、労働者派遣との違いは、請負には、注文主と労働者との間に指揮命令関係を生じないという点にあります。
請負により行われる事業
よくある相談案件ベスト3
Q.1 社長1人で社員0名の会社でも届出は可能ですか?
A.1 特定派遣の届出要件に役員数は関係ありませんので、もちろん社長ひとりの法人でも届出は可能です。
Q.2 社長自らも派遣できますか?
A.2 役員が社長ひとりの法人で特定派遣届出をして受理されても、その後に社員を雇用することなく社長自らを他社に派遣することはできません。
Q.3 自宅兼事務所でもOKですか?
A.3 基本的に自宅兼事務所でもOKですが、派遣業という職業柄、個人情報を取り扱うことから、プライベートゾーンとお仕事ゾーンの区別がされていることが好ましいと考えられます。またレンタルオフィスなど机ひとつでローパーテーションのみで区切られている空間での事務所も好ましいとはいえません。都道府県によって厳しく判断されるケースがありますのでご注意ください。
特定派遣Q&A
Q.1 社長ひとりの会社で、社員を雇用していませんが、特定派遣の届出をして、自らを派遣することは可能ですか?
A.1 もともと特定派遣というのは、労働者を派遣するということですから、社長は労働者でないことから派遣はできませんが、社員を将来的に雇用するということであれば、届出は受理されますので可能です。
Q.2 他社で登記上の住所借りをしていて実態のオフィスがありませんが、特定派遣の届出は可能ですか?
A.2 実態のオフィスがないのであれば、届出は不可能ですが、ご自宅もしくはレンタルオフィスなどで届出することは可能です。ただし、自宅の場合には賃貸契約書に住居専用、事務所使用不可と記載されていれば自宅を事務所として届け出ることはできませんのでご注意ください。またレンタルオフィスの場合も使用承諾書や転貸契約など、契約書類などを確認しておく必要があります。
Q.3 自宅事務所でも特定派遣の届出はできますか?
A.3 基本的には自宅でもOKですが、プライベートのスペースと仕事用のスペースがきっちり区分けされていることが必要です。また、賃貸の場合は上記Q.2の通り賃貸契約書を確認する必要があります。
Q.4 派遣元責任者講習は受講しないといけないのですか?
A.4 特定派遣の場合には、派遣元責任者講習の受講は届出の要件ではありませんので、未受講でも届出は受理されますが、あくまでも派遣業をはじめるわけですから、機会があれば受講をお勧めします。
Q.5 派遣元責任者の要件で、雇用管理経験とありますが、派遣事業の経験がないといけないのですか?
A.5 雇用管理経験の年数には、派遣事業の経験は必要ありません。業種や規模は問いませんので、社会人として部下を持っての就業経験を問われているに過ぎません。届出の際に提出する履歴書にお書きください。
Q.6 社長と派遣元責任者は兼任できますか?
A.6 兼任は可能です。
Q.7 個人事業でも特定派遣の届出は可能ですか?
A.7 特定派遣の届出には個人・法人は問いませんので可能です。
Q.8 特定派遣の届出をおこなうのには社会保険の加入は必ずしなくてはいけないのですか?
A.8 基本は社会保険への加入は必要ですが、法人・個人やその他の要件により例外があります。
法人の場合は社会保険については強制適用ですので、社長1名であっても加入しなくてはなりません。但し、役員報酬が0円では社会保険への加入はできませんのでご注意ください。また、個人事業の場合で社員数が5名未満の場合は、社会保険への加入は任意ですので強制ではありません。結果として社会保険に加入していない場合は、いずれの場合も誓約書等の別途書類を届出の際に提出することになります。(*各都道府県労働局により取り扱いが異なる場合があります。)
Q.9 特定派遣には数年毎に更新があるのですか?
A.9 特定派遣は一般派遣とは違い更新はありませんのでご安心ください。ただし、毎事業年度経過後3ヶ月以内にその事業年度に係る労働者派遣事業を行う事業所ごとの事業報告書及び収支決算書を事業主管轄労働局を通じて厚生労働大臣に提出しなければなりませんのでご注意ください。
Q.10 特定派遣の届出をすればいつから派遣ができるのですか?
A.10 届出が受理されればその当日から派遣が可能となります。
Q.11 個人情報保護規程とはどのようなものですか?
A.11 個人情報の取り扱いに関する規程です。弊社にてご提案をさせていただいております。
メリットとデメリット
特定派遣事業のメリットといえば・・・
- 業務請負契約から変更しやすい。
- 資産・預貯金要件がない。
- 許可でなく届出なので即日事業が開始できる。
- 派遣元責任者講習の受講義務がない。
- 法定費用(印紙代など)が不要。
- 社長ひとりでも届出は可能。
- 事務所の広さの要件がない。
特定派遣事業のデメリットといえば・・・
- 自社の常用雇用労働者しか派遣できない。
届出後の労務管理や運営
届出受理後には、特定派遣事業といえども派遣事業ですから、個人情報の管理や、契約書の整備、労働保険・社会保険の加入、決算期ごとの事業報告書の提出など、様々な法律で規制されますので、一般派遣事業よりも開始するときは要件が緩いですが、事業をスタートすれば管理や整備をしなくてはいけないことはほぼ同じですのでご注意ください。
また日常におきましても、御社の労働者は派遣先で就労していますので、コミュニケーションが取りづらい状態になります。派遣先とも連携しながら今まで以上に労務管理については慎重に確実におこなっていただきたいです。
>>>弊社では、派遣事業専門の労務管理サポートもおこなっておりますのでお気軽にお問い合わせください。
事業報告書
派遣元事業主は、毎事業年度経過後3か月以内にその事業年度に係る労働者派遣事業を行う事業所ごとの事業報告書及び収支決算書を事業主管轄労働局を通じて厚生労働大臣に提出しなければなりません。
海外派遣の届出
派遣元事業主は、海外派遣を行う場合は、個々に事業主管轄労働局を通じて厚生労働大臣に届け出なければなりません。
変更届出
以下の変更があった場合、事後10日以内。8、9は30日以内。
- 氏名又は名称
- 住所
- 代表者の氏名
- 代表者を除く役員の氏名
- 役員の住所
- 特定労働者派遣事業所の名称 ※
- 特定労働者派遣事業所の所在地 ※
- 派遣元責任者の氏名 ※
- 派遣元責任者の住所 ※
- 特定製造業務への労働者派遣の開始・終了 ※
- 特定労働者派遣事業を行う事業所の新設 ※
- 特定労働者派遣事業を行う事業所の廃止 ※
※印は事業所管轄労働局においても可能な手続です。
事業廃止届出
以下の場合、事後10日以内。
- 特定労働者派遣事業の廃止